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堕落の鎧

2018/05/26 18:11:44
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「くそ、これがこの剣の呪いか、よ……」

斧の柄でしたたかに殴りつけられた腹部をさする。
紙一重ではあったが、間違いなく回避できた攻撃だった。
それが思い通りに行かなかったのは、足を動かす瞬間に体の自由が利かなくなったからに他ならない。

手足に残る痺れに内心舌打ちをする。
時間にすれば2秒か3秒か、普段であれば特に気にも留めないような僅かな時間だが、それが戦闘中となると話は別だ。
さらに、電撃に似たショックによる麻痺ともなれば輪をかけて危険であることは明白。

「せめて、昨日の討伐で呪いの効果が出ていれば……!」

思わずそう愚痴らずにはいられない。
知ってさえいれば心の準備もできる、呪いの種類によってはある程度の対策だって可能だっただろう。
それなのに、よりによって今戦っている相手が牛頭の魔物、ミノタウロスとは。
堕落の鎧の加護があっても容易ではない相手なのに、このハンデを背負うのはやばいとしか言いようがなかった。

こういう事があり得るのだから、情報が足りない曖昧な依頼の時は入念な準備が欠かせない。
それを知っているはずなのに、俺は体調の管理すら怠っていた事を悔やむ。

(ただでさえ昨夜オナニーし過ぎて寝不足だっていうのに)

油断と慢心と偶然が重なり合い引き起こされるよもやの事態、というのはあり得るのだと歯噛みする。
とはいえ、過ぎたことを言っても仕方がない。
今は何とかこの場を切り抜けることを考えなくては。
場合によっては撤退も視野に入れざるを得ないだろう。

『ブモオオオオオオオオオッ!!』

その時、牛頭の魔物の雄叫びが洞窟に木霊する。
逡巡しているのを察し好機とでも思ったのだろうか。まっすぐこちらめがけて突進してくるのが見えた。

迷っている暇はない、手は動く、足も動く。
しかし、まだ痺れが完全に取れたわけではない。
避けるあるいは逃げる、という選択には一抹の不安が付きまとう。

(なら迎え撃つしかないか)

向こうから突っ込んでくるのは逆に好都合だった、見た目通り猪突猛進タイプの魔物だ。
剣の先端を正面に突き出し構えていれば相手の勢いを逆に利用できる。
騎兵に対する槍衾のように、だ。

至近に迫る魔物の重圧に負けぬよう足に力を込め、剣先がぶれぬよう腕をしっかりと固定する。
これならば、仮に今麻痺の呪いが出たとしても問題はないはずだ、と腹に力を入れた瞬間肉を裂く音が聞こえた。
固い筋肉から骨にまで至る感触、それが確かにあった。
魔物の腕から肩までを貫き通したのだ、これで突進の勢いが弱まるはず、普通であれば。

だが、そうはならなかった。
相手は勢いを弱めるどころか、むしろさらに蹴り込んでタックルのようにぶつかって来る。
見通しが甘かった、と、後悔する時間もあれば、突き刺さった剣で魔物の腕を切り裂こうと腕に力を籠めた瞬間、

バチィ!

と、いう音とともに意識が揺らいだ。その瞬間またも電撃による麻痺の呪いが発動したのだ。そして

「が、ひゅっ!」

逃げることもできないまま洞窟の壁に背中から叩きつけられ、そのまま魔物の体で圧し潰された。
肺から空気が漏れ、逃げ場のない衝撃に内臓が悲鳴を上げる。
岩と魔物に挟まれた、まるでサンドイッチのような有様だっただろう。

ぐる、と世界が回ったような気持ち悪さを感じる。
気を失う前兆であると本能的に理解したものの、呪いで傾いた意識にさらに一撃を加えられてしまっては抗う術はなく。
地面に倒れた俺が最後に見たもの、それは、異様に興奮し目を血走らせるミノタウロスの姿だった。


────────────────────────────────


ずっ、ずっ、ずっと規則的な音が聞こえ、心地よい揺れが体を動かしている。
何が起こっているのだろう、という疑問が、闇の中に沈んでいた意識の頭をもたげさせた。

光が広がる視界の中、まず見えたのは暗色の地面と岩壁。
そこでハッとした。俺はどのくらい気を失っていたのだろうか、と。
少なくとも今の場所は気を失った所と変わらないように見える、時間は長くとも数分だろうか。

だとすれば、あの魔物は、ミノタウロスはどこへ……

ぱぁん!

「んふぁ!」

と、首を巡らせようとした時、下半身を打ち据えられたような震えに勝手に声が漏れた。
何が、と思い体を動かそうとするも動けない。
そこまで来てようやく、大きな手で腰をがっちり掴まれているという事に気が付く
人間ではありえない大きな手が、お尻を高くつき上げる姿勢を強要してくる。
そして、背筋を震わせるぞくぞくとした刺激、そこまでくれば嫌でも一つの結論に辿り着かざるをえない。

「て、てめ……っ」

呆けていた意識が一気に覚醒する。
魔物相手にそんな事できるか、と足をばたつかせるものの、不安定なこの姿勢では行為を止めさせるにはとてもじゃないが足りなかった。

「んあぁっ、やめ……!」

怒張したミノタウロスの男根が何度も何度もインナーの上から割れ目に擦り付けられ、出したくもない甘い声が出る。
その都度、抵抗しようとする動きが緩慢になっていくのを否応なく自覚してしまう。
頭の中を性欲に支配されて行っているのが分かってしまう。

でも嫌だ、魔物相手に俺の体を好きにされてたまるか、特に初めての相手がこいつなど冗談じゃない。

幸いにしてまだ突っ込まれてはいないようだ。
ミノタウロスにそんな習慣があるかは分からないが、おそらく前戯なのだろう。
逃げるなら今しかない、今何とかするしかない。

快楽に翻弄される中、視線を巡らせ剣を探す。
しかし手の届く範囲には見当たらず、ミノタウロスの肩にもない。
抜き取られた後、近くに投げ捨てられたのかもしれなかった。

やはり自分の力で何とかするしかないが、腰を浮かされ地面に足がつかないような状況では……。

「ひ……!」

その時、ぐっと尻を割り開かされる感覚に短く悲鳴を上げた。
人間をはるかに超える大きさの男根、その先っぽが俺の女性器にぐりぐりと押し付けられてるのを感じてしまったから。
そしてミノタウロスの口元がにやりと歪むのを見てしまったから。

「やめ……ふひぃっ!」

ぱぁん、と肌を打ち付ける大きな音が洞窟に響き、尻肉を震わせる衝撃に情けない声を上げる。

だが

「……ふえ?」

覚悟して体を固くしていたものの、いつまでたっても男寝をねじ込まれたような感じがしなかった。
なんだろうと股間に恐る恐る目をやれば、さっきまでと同じ状態。
太ももの隙間からお腹の側に突き出される巨大な男根の先が見えて、そして思う。
あれほど挿れる気だったのに、なんでまた素股をしているのか、と。

そこでようやく理解した。
別にこいつは前戯をしていたわけじゃない。
最初から何度も挿入しようとしていたのだろうが、鎧の加護のせいで女の穴を守る部分を破る事が出来なかったんだと。

『ブモ、ブモォ!』

ミノタウロスは狂ったように腰を振るが、その男根は鎧の上を滑りお腹や尻の上を擦るだけ。
きっとこいつには理解できないんだろう、そんな様子を見て少し冷静になった。

とはいえ、本番はされないというだけで逃げるのも覚束ない状況に変わりはない。
少し考えた結果、このまま抵抗する気を失っている振りをすることにした。
下手に暴れて相手に警戒させるのも悪手だと思うし、性欲だって無限ではないだろう。
挿れる事が出来ないのを理解するか、あるいは諦めたとき、魔物は次の行動に出るはずだ、そこを狙おうと。

「あっ、ん!ああっ……!」

そう決めれば、魔物の行為は俺を気持ちよくするためだけのもの、とさえ思えてくる。
自分でではなく他人(まあ人ではないけれど)からこういう事をされるというのは無論経験したことはない。
だから、こういうのを楽しむのもアリではないだろうか。

「ふ、くぅ……激し、いっ……」

こっちの都合など考えない、ただただ性欲を発散するためだけの行為。
愛液とカウパーでドロドロになったそこは、どうやら相手にとって相当に気持ちがいいらしい。
白目を剥きそうなミノタウロスの顔を覗き見て、不意にささやかな意趣返しをしたくなり、思いっきり太ももに力を入れてやる。
細かく毛羽だった鎧の部分と、きめ細かく柔らかい肌で作られた素股の穴をきゅっと締め付けるように。

「ぷあっ!?」

狭くなったそこを勢いよく男根が通過するや、とんでもない量の白濁が溢れ出た。
大量の精液が腹を汚し、顔にまで降りかかってくる。
しまった、と思ったときはもう遅い、避ける暇もなくそれを浴びあまつさえ少し飲み込んでしまっていた。

(くそ、最悪だ……でも)

それで一応の満足を得たのだろう、ミノタウロスは俺の体を手放し、そして何かを探すように洞窟を闊歩する。
今がチャンスだった。
気づかれないようにそっと体を起こせば、入り口の穴の方に剣が転がっているのを目にする。
依頼の期間はまだある、今無理をすることはない、と俺は一目散に駆け出す。

ミノタウロスが女を拘束するための鎖を持ってきた頃には、もうその場には誰もいなかった。


────────────────────────────────


昨日泊まった宿に戻ったのは、夜の帳があたりに降りた後であった。
部屋に入るなりベッドに体を投げ出して、そこでようやく一心地つく。
あの後手ごろな河原を探し、そこで体と鎧についた汚れを落として帰路についたのだ。

途中何も喉を通らなかったが、あんな事があったため緊張状態が続いてるせいだろう。
不思議と空腹感も感じなかったが、それは逆にありがたいと思う。
空腹でも食事が喉を通らない、というのが一番きついのだから。

「まったく……」

横になったまま、今回の失敗の発端となった呪われた魔剣を握る。
これに関しても水浴びをした後にいろいろと試してみた、だが結局呪いを発動させることはできなかった。
いくつか推測があったものの、それが正しいか証明するためには一度大きな街へ行き準備する必要がある。

そのためミノタウロスの討伐は後回しとし、先に別の二か所を回るよう行程に変更を加えていた。
仮定の話ではあるが、もし推測通りであるなら、この剣を使わずともミノタウロス討伐が出来るかもしれないからだ。
まぁ、この先の相手がそれ以上ではない、との可能性は捨てきれないが……

「やめやめ、考えても仕方がない」

軽く手を振ってネガティブな思考を払いのける。
とりあえず、今は想定外すぎる事が連発したにも関わらず、無事明日を迎えられることを喜ぶべきだろう。

「に、しても……」

改めて自分の、女の体を見て思う。
想定外はいくつもあったけれど、よもや性欲を抱かれるとは想定外にもほどがあった。
なにせ自分で楽しむ事しか考えていなかったのだから、他人から「女として」見られる事に全く無頓着だったのは否めない。

考えてみれば当たり前、今の俺はどこからどう見ても女である。
顔も体形も男と比べれば小さく非力だ、ささやかとは言え胸もあるしちゃんと女性器もある。
お腹の中には子供を授かるところだってあるはずだ。

「ん……」

ただ、オナニーすれば気持ちいい所とだけ思ってきたけれど、ここ……の正しい使い方は男を受け入れ子供を作る事。
生物として正しい利用方法、それに疑いの余地はない。
そう、指でこするだけじゃなく、ここに、男を、男根を入れることが……。

「く、ふ……は……なん、で……」

またいつものように女を楽しもう、と這わせた指。
でも今日は、今は何か違う。
ただ触れる感覚だけでなく、ここに男根を受け入れたら、という事が頭を離れない。
動かす指がミノタウロスの男根と重なり、素股をされているイメージが勝手に膨れ上がっていく。

「はぁは……はぅ、はっ……♡」

あれは嫌な記憶なのに、それなのに、女の体は今までよりたくさん感じてしまってる。
とろとろと染み出す愛液もいつもより多く、いつもより粘り気がある。
なんでこんな……そう思いながらも、悦楽の中に堕ちて行くのを止められない。
もっともっと感じたいと思う気持ちを止められない。

(だめ、イく……もうっ、イクッ……!)

肩をすくめ頭を後ろに反らし女の絶頂を迎える。
いつもと同じ結果、でもいつもと過程が違っていた。
ホワイトアウトしていく視界の中、その頂への最後の一押しをしたのは指の刺激ではなかった事をぼんやりと思う。
おまんこにちんぽを突き立てられ、精液を胎内に注がれる自分の姿。
妄想の中のその光景に、これ以上ない興奮を覚えてしまっていたのを自覚せずにはいられなかったから。








昨夜の自慰はほどほどにしたし、ぐっすりと眠れたのか今日の目覚めはいい。
普通にお腹も減って食欲もある、朝食も美味しく食べる事が出来た。
体調に関しては何の問題もないと言っていいのだが、ただ、少しの違和感を感じている。

その違和感とは何なのか、鏡を見てようやく気づいた。

胸が一回り大きくなっているのだ。
心なしかお尻にも肉がついたような気がする。
昨日までがお子様体型だったとすれば、今日は思春期を過ぎた少女くらいに体が変化していた。

「今までこんな事なかったのに……」

そんな戸惑いの言葉が口をつく。
だが、改めて考えれはそれは当たり前の事だろう。

今まで女性化していたのは長くて2日でしかない、それ以上の事はまだ未知の領域なのだから。
あるいは昨日の事があったからかもしれないけれど、いずれにしてもこれくらいなら大した事じゃない。

逆に、むしろ喜ばしい事ですらあるのではないだろうか。
今まで幼い体型を気にしていたのだから、より女らしくなるのであれば否定する必要はないはずだ。
それどころか、さらに加護の力を使えばもっと女らしい体に変化するのではないか、とすら思う。

「ふふ……」

自然と舌なめずりをしていた事に驚き、慌てて口に手を当てた。
楽しみは楽しみとして本来の目的を忘れるわけにはいかない、と気を引き締める。
とは言え今日はただの移動日、危険はないだろうし、宿についたらどう楽しもうか、道すがら考えるくらいならまあいいかなと考え直した。

考え直すといえば、女、それも美人というのは気分がいい、と言う事を改めて思い浮かべる。
予定通り街について、いろいろと買い出しをしていて強く体感した。
これは俺が男だからこそ感じるのであって、もともと女であれば逆なのかもしれないが。

街を歩いている時に引き付ける視線。
まだまだ駆け出しに見える冒険者の男、ってだけの俺ならこんなことは無いだろう。
買い物をする時にしても、ちょっとお願いすればサービスしてもらえる。
宿にしても、部屋の位置や内装について色々と配慮を受ける事が出来る。
食事にしたって同様だ。

半分本気半分冗談くらいで、いっそ女として過ごしてもいいかもな、くらいの事は考えてしまう。
まあ、それだとこの堕落の鎧を一生身に着けて過ごさないといけないわけだが。

「……あれ?」

そんな埒もあかないことを考えながら、割り当てられた角の部屋で鏡を見ていて妙な事に気づいた。
その堕落の鎧だが、一部の形が変化している。
胸当てのところや腰のあたりを守る板金部分が丸く細くなっているのだ。

出発した朝にも鏡は見た、だがそんな変化は無かったはず。
今日も特に気になるような事は起きなかったのに、何故。

「あ、ひ……ちょっ、今、こんな……!」

と、考えた瞬間、全身が柔らかく締め付けられはじめる。
肌を細かく震わせる甘い痺れ、今まで何度となく感じた身体変化を伴うときの前兆。
しかし、今は夜中ではなく夕方近い時間だというのに、と初めての事に驚きを禁じ得ない。
とは言え、夜であっても夕方であっても、鎧を身に着けている者に抗う術がないのは同じ事。
ただ成り行きに任せるしかないのだ。

「ん!」

胸を中心に一層強い刺激が走り、反射的に体が硬直する。
次の瞬間に新しい情報として脳が知覚するのは、今まで感じる事のなかった重みと二つの柔肉がインナーを押し上げる圧迫感。
その頂がきゅっと締まるのも甘い痺れとともに感じる事ができる。
そして胸元のインナーが裂け、今実ったばかりの果実の谷間を見せつけるかのように菱形の穴を形成した。

「ひ、あ、下も……!」

同時に、お尻と太ももがぷるぷると震え、そこにも肉が盛られていく。
体が変わっていく独特の感覚に、俺はただ心地よさに打ち震えながらその嵐が過ぎ去るのを待つほかはない。



「お、おわった……?」

しばらくすれば体を駆け上がった暴風雨は過ぎ去っていった。
さざ波のような波濤が残る体に力をいれ、俺は急ぎ鏡の前へと歩みを進める。
自分の体がどう変わってしまったのかを確かめるために。

「あっ……♡」

心臓が大きく脈動する。
そこに映る姿に一種の感動を覚える自分、それが間違いなくいたのだから。
巨乳ということは無いが、男を満足させるには十分な大きさを主張する柔らかな果実が実っている。
腰は細く締まり、そこから下半身にかけてゆるやかに広がる裾野は見事な曲線を描いていた。

そして体の変化だけではない。
堕落の鎧も女らしい体を引き立てるように色っぽくその形を変えている。

「すごい……な」

自分の姿でありながら鏡の中の存在に引き込まれるかのようだった。
これが自分だと思うと何となく誇らしく、それでいて嬉しい。

さらにもう一つ。
これは外観の変化ではないが直感的に察したことだ。

「んふ!はあっ……!」

膨らんだ乳房の頂、インナーを押し上げその上からでもはっきり形が分る程に自己主張する果実のへた。
そこを一息に摘まみ上げ、それによって感じた疼きで確信した。
昨日までの女の体よりもずっとずっと敏感で、より深い快楽を得られるようになっている、と。

「はぅ、すごい……乳首だけで、こんななら……」

ごくり、と喉が鳴る。
胸だけでこれだけの性感を得られるのだ。
なら、今のこの体でオナニーをしたらどれだけの充足感を得られるのか。
そこまで考えたならば、もう我慢なんかできるはずがなかった。


────────────────────────────────


「んー!っふ、んうーっ!」

今にも張り詰めそうなくぐもった声。
違う、昨日とは全然違う。その高さも奥深さも達したときの開放感の大きさも。
これ以上続けていったらとんでもないイキ声を出しそうで、その恐怖からシーツを噛んで自慰をしてしまっている。
たとえ角部屋でも誰かに聞かれないとは限らない、それくらい快楽の度合いが段違いだった。

(ひっ、また、もう……イって……!)

ベッドに顔を押し付け、大きく荒い息を吐く。
この繰り返しを何度やっただろう。

(イって、イッてるのに……足りない、まだ……足りない)

それなのに満たされない。
心が、もっともっと快楽を味わいたいと、そう叫んでいるかのよう。
何度乳首をつねり上げ、何度女性器を力任せに擦って、何度イっても足りないのだ。

「ふーっ、んふぅっ!なんで、なんで……ひ、んむぅっ!」

駄目なのだ、もうインナーの上から触るだけのオナニーで満たされるほど性欲の池は狭くなくなってしまった。
でもそれなら、どうやれば満たされるのか。

「はっ、ん!んんーっ!!はぁ……♡」

絶頂を重ね思考も絶え絶えだというのに、その答えはもう分かっている、理解している。
昨日の夜知ったはずだ。
そうすればきっと触るだけの自慰よりも気持ちいいし、ずっと満足できるはずだと。
おまんこの中に指でも棒でも突っ込んでかき回せば、絶対今の性欲を満たしてくれると。

でも、それは出来ない、それも知っているはずだ。
この鎧を着ている限り、アソコは加護で守られたインナーで包まれている。
それを破り中をかき回すなんて、あの魔物の凶器ともいえる男根でもできなかった事を自分で出来るわけがない。

「ああ、あ……なんで、なんでだよ……」

たまらず、手近にあった剣を手に取り、その柄を性器にあてがう。
それを力任せに押し込もむものの指で触れるような弱い刺激にしか感じられない。
居ても立ってもいられず、性欲に突き動かされるまま机の角を思いっきりクリトリスに擦り付ける。

「あふ、これなら……」

これなら指でするよりは少しはいい、でもやっぱり満足には程遠い。

「んっ、んっ、んぅ!んんっ!」

だが、今これ以上のいい方法は思いつかない。
ならせめて、一番感じられる角オナで済まそうと一心不乱に腰を振った。
ぐちゅぐちゅぐちゅと愛液が机に恥ずかしい染みを作っていくのもお構いなく、ひたすらに尖った所で腰をグラインドさせ
シコりにシコった乳首を両手で握り潰し力任せに揉み上げる。

淫乱女の所業でしかない、ほんの少し残った理性がそう蔑んで来るような気がした。
だけれども、今となってはその蔑みすら、快楽を増幅させるための隠し味にしかならないのだ。

「ふーっ!ふーっ!ふーっ!」

両手で口を塞ぎ、声を殺し、涙を流しながら敏感になりすぎた体を震わせる。
そのまま床に倒れまどろみに堕ちたのは、ただ肉体的な疲労がそうさせた、というだけであった。


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