獣の臭いと排泄物の臭い、そして精液の臭いに満ちたこの場所が今の私の住処。
ご主人様の寝床の片隅、ほんの小さなスペース。
と言っても、横になれるような大きさもないし、そもそも生活のための場所ですらない。
ただそこに置かれている、というだけの意味だ。
だって、金属の鎖と枷によりまんぐり返しの格好を強制され、天井から吊り下げられているだけなのだから。
拉致されここに拘束されてもう何日経つだろうか。時間の感覚なんてとっくになくなっていた。
目に映るのは、変わることのない洞窟内の景色と私のご主人様だけ。
耳に聞こえるのは、ご主人様の鳴き声と私の喘ぎ、肉の弾け合う音、擦れ合う水音、そして鎖の音。
感じるのは、毎日毎日飽きる事もなく与えられるセックスの快楽。
今の私は、ご主人様が好きな時におまんこ使って気持ちよくなってもらうための道具。
言うなれば生きたオナホみたいなものだった。
「……ふぁあ……♡」
そんな惨めな存在にまで堕ちてしまった自分を思い身震いする。
でも、その身震いは嫌悪感や諦観から出たものではない。
艶めく吐息があらわすように、私はこの境遇に興奮し積極的に受け入れてしまっている。
だって、こんなに楽で心地いいものはないって知ってしまったから。
一切のしがらみを考えることなく、性欲のはけ口として求められるままに体を差し出す、その対価は素晴らしい快楽だ。
矜持とかプライドとか面倒なことは全部投げ捨て、ただ受け入れ溺れていればいい。
「あん♡もうセックスの、時間なんだぁ……♡」
肯定を示すかのように、私のお腹に刻まれた淫紋が怪しく光る。
そして同時に与えられる優しい愉悦、拘束され不自由な体で受け止め身悶えすれば、また至福の時間が近いことを悟った。
この模様が光るときは、近くに性欲を抱くもの、ご主人様がいる証。
あのでっかくて立派なおちんぽを受け入れる準備を始めたんだ、って。
「ひぃ、いい、いひですっ!気持ちいい……ご主人様のおちんぽぉ!大好きですぅっ♡」
いつもの通りの力任せの乱暴なピストン。
それを受け入れる都度、きゅうきゅうとおまんこを締め付けてあげながら、淫らな言葉を連呼する。
勿論、ご主人様が私の言葉を理解しているとは思わない。
だからこれは、私がそうしたいから言っているに過ぎない。
「あぁん、私のおまこ♡ご主人様のおちんぽの形、覚えちゃってるぅ♡」
何故かって、そうすればより可哀そうな自分自身を確認できる。
私を蹂躙する魔物をご主人様と呼べば、私はそれ以下の存在だって心を縛る事ができる。
意思の疎通すらできない相手に傅くという、倒錯的な心地よさ。
それを感じることで、惨めな境遇の私に陶酔することができるのから。
「んぅ、しあわせぇ……幸せになっちゃ、う、よぉっ♡」
大げさに体をゆすって、殊更に鎖の音を大きくするのもそう。
ガシャンガシャンという無機質な音が、私が囚われの身である事、無理矢理犯されておちんぽに屈服した事を心に刻む事が出来る。
不甲斐なくも、私は下等な存在である魔物の所有物に成り下がったんだ……って。
「やっ、ひ……!イ、イく……もう、イっちゃう……っ!」
そうやって堕ちてしまったんだと心を縛ればよりセックスが気持ちよくなる。
浅ましい私を気持ちよくしてくれるおちんぽが好きになって、とても尊いものだって思ってしまう。
だから、お情けを貰えることがとっても嬉しく、とても愛おしく感じられるようになるんだから。
「ふあ、ふゃあぁぁああぁぁ────っ♡」
ご主人様の射精を子宮で受け止め、最後の一滴も逃さないようにきゅうきゅうとおまんこを締め付けてあげる。
びくびくっ、と私の中で震えるご主人様のおちんぽ。
私に絞り出されて喜んでるような気がして、心が暖かいもので満たされていく。
何度犯されても何度達しても飽きることなんてない。
余計な尊厳を捨てて、人間以下雌以下の淫乱オナホにまで堕ちたからこそ、相手がどうとか扱われ方がどうとか関係なく
ただ使って貰える、という事に至上の喜びを感じられるんだと。
(あは、だから堕落の鎧っていうのかな……)
そんな事をふと思いながら私は微睡に沈んでいく。
でも、ここはまだ堕落の底ですらなかったという事を私は知らなかった。
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僅かに身じろぎすると、肌がひきつるような不快感と共に白い粉が舞い落ちる。
捕まってから今まで、全身余すところなく浴びせかけられたご主人様の精液。
それが乾きカピカピになっているせいだ。
今ご主人様の姿は見えず、ぽっかり口を開けた私のおまんこが物足りなさそうに痙攣するのを感じ小さく息を吐く。
抱かれている時はいい、でもその合間の時間はただ待つだけ。
手足を拘束され天井から吊るされていては自慰もできないのだから。
(ずっとおまんこ犯されていたいのに……)
物足りない、寂しい、そう意識してしまうと思いがどんどん増長していくのはよくある事。
だから、何も考えないようご主人様が帰ってくるのを待つのだけれど、今日は少し違う。
「あ……」
何気なく目を向けた先、呪いにより外すことのできない鎧、その形がまた変わっているような気がしたのだ。
薄暗くてよく分からないものの、肩当の内側からなにか柔らかいものが生えてきているのが見える。
それが何かまでは分からない、けれど細長く丸みを覚えている何か、それが何本も突き出ていた。
もしかして他の部分も、と頭を傾けるものの、この状態ではよく見えず結局諦めるしかない。
でも体に変化や変調を感じるような兆候はなかったはず。
何か、私の知らないことが起きているような気がして怖くなる。
でもその不安を感じたのも一瞬、淫紋が震えご主人様が戻ってきたことを察すれば、そんな不安などあっという間に吹き飛ばされてしまった。
私の体はおちんぽを受け入れる準備を整えはじめ、心はこれから与えられる幸せを思いピンクに染まる。
(……どうせ、何かあっても……私にはどうすることもできないもん……)
なにより、今までの経験から私にはどうすることも出来ないのだから。
それに、どんな事があっても女として気持ちよくなれるならそれでいいんだから。
私のおまんこは勝手気ままに使われることが殆ど、けれど、ご主人様が寝る前には必ず私の体で性欲処理を行う。
それは決まりきった行動、だから今日もまたその時を呆然と待っていた。
……でも、いつまで待とうともその時間は訪れない。
何かあったのだろうか、と不穏な考えが脳裏をかすめたとき
「おや、生きていたのですね」
そんな声が聞こえた。
声を聞くなんて本当に久しぶりで幻聴かとも疑った。
でも、薄く開けた目に映る魔法の光と、足音がこちらに近づいてくるのを聞き、それが現実だと悟る。
「ミノタウロスに捕まっていたとは、道理で10日経っても戻ってこないわけです」
はっと息をのむ。
私の目の前に現れたのはあの魔術師の男だった。
なんでここに、その疑問が声となる前に魔術師は続ける。
「よくあるのですよ、冒険者であるなら野垂れ死ぬ事も、持ち逃げしようとされる事もね
だから武具には居場所がわかるトレースの術式をかけていた、そういう事です」
そして彼が手に持っているのは麻痺の呪いを与えるあの剣。
ここに拉致されたときどこかへ行ってしまったと思ったけれど、どうやらミノタウロスはこの洞窟に隠していたらしい。
つまりそれを魔術で追ってきた、という事のようだった。
「ここがミノタウロスの巣と分かった時は、野垂れ死にかと考えたのですが」
ふむ、とこちらを見る目に背筋が震えた。
今私はあられもない恰好をしているのに改めて気が付いたのだから。
「まぁ、そのような大分酷い事になってる様を見れば、どのような扱いを受けていたかは察せます……どれ」
しかし特に変わった表所を浮かべるでもなく、事務的な口調のままで魔術師の男が何事かを唱える。
魔術だ、と思う時間もあれば、枷と鎖が引き千切られ私の体は宙に投げ出された。
とは言え、吊るされていたのは腰くらいの高さ、うつ伏せに床に落ちたとしてもさほど問題はないのだが。
久しぶりに感じる地べたの固さ、そこに手をついて立ち上がろうとするも
「あれ……?」
長い間まんぐり返しの状態で吊るされていたせいだろうか、手足がしびれて力が入らない。
だから顔だけ向き直り謝意を伝えるのが精一杯だった。
「あ……っ……」
ありがとう、との言葉が喉まで出かかり、そして飲み込まれ消えていく。
この男の前ではそんな言葉は選ばなかった、とっさにそう思う。
私の心は完全に女に順応してしまっていて、それを悟られるのは何となく嫌だったから。
「……た、助かったよ」
だから、少しの間をおいてそう答える。
この男と会話していたころの私はこう言ったはず、と思い出しながら。
「いえいえ気になさらず、私としても死体から鎧を剥がすなんて気味の悪い事せずに済みますからね」
魔術師の答えに、確かに、と思う。
そんな何気ないやり取りに、また日常に戻るのかとの実感がわき始めた。
これから街に戻って、また鎧を脱ぐための術式を受けるのだろう。
すっかり忘れていたあの苦痛を味わうのは嫌だけれど、当初の予定通り冒険者の名声を得て、またこの鎧を身に着けて……
「それに、そこまで呪いの進行が進んだ状態を見るのは初めてです、この先どうなるか見られるのは僥倖ですよ」
え……?
冷水を浴びせかけられたかのような寒気に思考を中断させられる。
今、魔術師は何と言ったか、呪いが進んだ状態?
呪いは女性化してそしてその性に溺れさせるよにする事ではないのか、と。
内面的な事を「見る」というのは変だ、何か私の体に目に見える変化が出ているのだろうか。
手足にも大分感覚が戻って来ている、そこで今度こそ立ち上がろうと手をついて
「え……?え……!?」
そこでようやく気付いた。
私の手が異様に細く、そして長く変形しているという事に。
「な、なにこれ……!?」
片方だけではない、右左両方ともだ。
まさかと思い自分の足も確認しようと視線を向け、そこでまた驚愕する。
膝から下が異様な形に折れ曲がっているのを見てしまった。
それなのに痛みを何も感じないのだから、怖いという感情が生まれるのも仕方のない事。
「いひぃっ♡」
恐怖に突き動かされるまま声を上げる、上げたはずだった。
でも、発せられたそれは、甘く上ずった性感を伴ったもの。
そうだ、この鎧は、この呪いはそうなのだ。私じゃどうにもできない、どうにもならない、でも……!
「の、呪いを、解いて……はやく……!んふ、助け……」
この男なら、何度も術式で堕落の呪いを外してくれたこの魔術師なら。
きっと何とかしてくれるに違いない、その想いだけで変形してしまった手を伸ばす。
「残念ですが、もう解呪とかそういう話ではないのですよ……」
しかし、魔術師は困った顔をしてそう言葉を口にするだけ、私の要望に応える動きを見せてくれなかった。
なんで、との思いを表情に浮かべれば
「まだお気づきになりませんか?」
そう言葉を加え、私の近くへと歩みを進める。
私は魔術師の行動を注視する他はない。いったい何に気づいていないというのか、と。
その手は鎧の後ろ、腰から膝までを覆うインナーと同じ素材の部分へと伸びていき
「ひあ!っ……なん、で……?」
ぞくりとした敏感な刺激をもって、そこに触れたことを私に知らせる。
そこは私の体じゃない、鎧の一部にしか過ぎないのに、との疑問が心に湧き上がる。
「同化しつつあるのですよ、正確には鎧に取り込まれ始めているという感じでしょうが」
そして、それを察したかのように事も無げに言い放つ。
「や、だめ……触らないで、触ると……んんーっ♡」
さらに魔術師の指が私の肌、そしてインナーとの境を這う。
それなのに触れられる感じは何も変わらない、インナー越しという感じが全くしないのだ
それどころか、爪を立てられても境目に引っかかる事すらない。
「これでお判りでしょう、いくら私でもこうなってしまっては手の施しようがないのですよ」
ただ触れられただけの刺激なのに、私はもう息も絶え絶えでただ聞くしかない。
同化?取り込まれる?そんな事は何も聞いてない、との思いを瞳に滲ませながら。
しかし魔術師の男は私の意など気にした風もなく続ける。
「それはそうでしょう、私も知らなかったのですから。その辺りは念を押していたはず……それに」
「あひぅ♡」
私の肌に触れる手、そこが熱を帯び心地よい刺激に甘い声を漏らしてしまう。
「本当に、助けてほしいは本心からですか?」
「あ、ああっ……♡」
さらにボリュームを増した胸をまさぐられ、乳首を抓られると眉根を顰め喘ぐしかない私に心底軽蔑してしまう。
ああ……と、その時改めて思い出した。
(そうだ、私は最底辺だったんだ……気持ちよくなれさえすればいい、そんな軽蔑すべき存在だったんだ)
久しぶりに人間と、魔術師の男と話してまた戻れると錯覚していた。
一度堕落した存在はもう二度と神に許される事はない、神話の天使ですらそうなのに。
私がまた光の当たる場所に戻れる道理なんてあるはずがなく、それに……。
「あひあっ♡お腹がぁっ♡」
この鎧が私を逃すはずがない、淫紋の疼きが私にそんな確信を持たせてしまう。
私はもうとっくに終わっていたのに、それを認められてないだけだったんだ、と。
「どうです?」
最後の確認の言葉、私はそれに首を横に振って答える。これ以上ないくらい淫靡な笑みと共に。
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「あ、あ……っ♡」
足先から頭のてっぺんまでを貫く甘く切ないパルスに身震いする。
受け入れる事を選択した私を祝福するかのような奈落からの誘い。
自らその手を取り堕ちていく、これ以上ないくらいに堕ちていく。
「ひいっ!手、がぁ……っ」
手を覆うインナーが伸び、それに包まれる私の体もまた骨格ごと伸びる。
甲の部分がさらに細く長く、親指を除く四本の指もまるで子供用の手袋を使っているかのように形を失っていく。
「ふわぁ、あっ、ああっ……きもち、いいなんてぇ……♡」
でも、変形した箇所を走る刺激はすべてが愉悦。
目に映る異形と化した手も幸福感をもって脳で処理されてしまうのだから抗えない。
変わっていくのが、変えられて行くのが嬉しい。
「んああっ!はひぃぃん♡」
びりっと、まるで皮膚が裂けるような音がして、私は大きく悶える。
腕と腋の下、その部分のインナーが薄い膜のように伸びて行く、さながら蝙蝠の被膜のように。
肩当から出ているのはもう腕ではない。まるで手羽先のようだった。
「あ、ああっ、肩当のこれっ、てぇ……♡」
そこまで来てようやくわかった。
肩当から生えてきている無数の黒いもの、これは羽毛なんだって。
「はひ!肩当がぁ……私の手、締め付けて……んんっ」
まるで上腕部に噛みつくかのように、そしてその牙を突き立て食い入るように。
黄金の肩当が溶け私の腕の表面を覆えば、その黒い羽根が手羽先と化した私の腕に植え付けられていくかのよう。
腕関節の比率は人間のそれから鳥のそれへと急激に変化していく。
「わたしの手、鳥みたいにぃ……♡♡」
関節の可動域も一緒に変わってしまったのだろう、もう人間のように手を動かすことはできない。
でも嬉しい、こんなきれいな羽、翼が私の物になったことがとても嬉しく、涎を垂らしながら喘ぐ。
「ああんっ、足も……足まで……!」
腰の横に付属していた翼を模したパーツ、それが私の太ももに食い入り溶け込み拡散していくのがわかる。
ぞくぞくとした刺激、それが広がると同時に肌が総毛だった。
ああ、と思う。
あの膝から下が折れるように変化していたのは鳥の足関節のようになっていたからだと。
「いっひぃぃいぃん♡」
ロングブーツのようになっていた足先が三つに分かれ、踵からもう一本人間ではありえないモノが伸びる。
(足がぁ、私の足が鉤爪みたいにぃ……っ、でも、でもこんな気持ちいなんてぇっ!)
瞬く間に足と下腹部を覆いつくす羽毛。
お尻を高く上げる体勢であられもなくヒクつく体を晒す。
おまんこの周りも羽毛に覆われ、そこから漏れた愛液で濡れた個所が色濃く変色しているのが恥ずかしい。
「あ、ああんっ!やぁ尾羽もぉ……!」
そいて、腰の後ろについていた外套のような箇所がある。
それは私のお尻の上にめり込み、やがて黒と金色の綺麗な尾羽となった。
新しく出来上がった器官の感触に、私は背を反らし肩を震わせる。
もう、どこからどう見ても私の姿は人間ではないだろう。
黒のインナーはその殆どが私の肌と同化しその色を失い、鎧と分かるのはもう頭に着けている額あてくらいなもの。
肩から先は金と黒の羽毛が生えた翼、足は黒一色でその先に鋭い鉤爪がついている。
そんな鳥の翼と下半身を持つ者など、女の魔物ハーピー以外ではありえない。
「あー、あーっ!わたし、わたしぃ……魔物にぃっ、くふぅん♡」
翼と化した腕、それで自分の体を抱くようにして、改めて変わってしまった私を噛み締める。
堕ちる、もう少しで魔物に堕ちる、呪いは私が人間である事すら許されないのだ、と被虐的な悦びをもって。
「んは……頭のなか、まで変わってる……ぅ……」
これで最後、これが終われば私という人間はこの世界から完全に消える、そんな確信。
頭の中に、翼の動かし方、飛び方、風の読み方、そして鉤爪での立ち方からバランスのとり方まで。
ハーピーとして生まれたのであれば当たり前にもつ経験則と知識、それが怒涛の如く流れ込んでくるかのようだ。
(消える、きえちゃう……人間の……消えてく、私が……♡)
代わりに消えていくのが人であった、今まで人として生きてきて学んだ事。
もう腕をどう使っていたか、物をどう持っていたか、剣をどう握っていたの感覚も思い出せない。
足に関しても同様で、何もかもがハーピーのそれに置き換わっていく。
「あ……っ」
ビクン、とハーピーと化した私の体が震える。
今、たった今、物理的に人間の私が終わってしまった、それを実感した。
最後に残っていた額あてはもうない、その部分の髪の色が変わっているのだけがその痕跡。
「はぁっ……❤」
そして改めて私の体を見てうっとりと息を吐いた。
人間だったころの記憶はある、でも、とても遠い事としか感じられない。
それを除けば、私は生まれてからずっとハーピーだったんじゃないか、とすら思えてくる。
男を誘うための餌、人間だったころは控え目だった胸の果実もたっぷりとした重量感を備え私を喜ばせた。
より女らしくなった体型は男をかどわかすためにだけ存在すると言っていい。
だって、私は、ハーピーは、男の精液を貰って卵を産んで、そして生きていく魔物なんだから❤
それを思えば近くにいる男に興味が出ないわけがない。
私は熱っぽい視線を男に、ずっと私が変わっていく様子を見ていた魔術師へと向けた。
それに応えるかのようにゆっくりと魔術師の男が近づいてくる。
初めて見る好色な色をその目にたたえて。
この日、一人の人間が消え、一人の女の魔物が生まれた。
そして私は初めて魔物として男を受け入れ、彼に飼われる事となる。
実験動物として、だけれど、私はそれで充分だった。
だって魔物は人間に狩られるもの、だから早々に新しいご主人様を見つけられたのは幸せ以外の何物でもないんだもの。