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魔女の変身薬

2017/01/28 16:19:23
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ピンポーン、とインターホンの音が響く。
この時間に俺の部屋を訪れる人間なんて限られている。先日頼んだものが来た、という事はすぐに察しがついた。
いつもなら喜び勇んで受け取りに出るのだが……今日に限っては二の足を踏まざるをえない。

「やべぇ、ミスった……」

口から出る女の子の声がその理由。
そうなのだ、今日届く荷物が楽しみで後先考えず変身してしまっていたのだ。

いっそのこと、このままの恰好で受け取りに出ては?とTシャツ一枚の我が身を顧みる。
……やっぱこれはまずいだろうか。

居留守を使ってやり過ごし、男に戻ってから再配送の連絡をするか?
でもその場合、変身薬の使用制限からバイブを愉しむのは明日以降になる。
……お預け状態になりたくはない。

でも、でも……。
そんな事で迷っている内にもう一度インターホンが鳴った。
まごまごしていると配達人は帰ってしまうだろう、どうする、どうしよう?
決められる人間は俺しかいない、よし、と深く息を吐いた。


「あ、え……えっと、虎瀬きよひこさんのお部屋ですか?」

念のためチェーンを掛けたドアを開け隙間から配達人を見上げれば、そこに戸惑いの表情が伺える。
それはそうだろう、いつもの配達の人からすれば、この部屋から受け取りに出てくるのは男だけなのだから。

結局俺は欲望に負け、女の子の姿そのままで対応する事にした。
見た目は完璧に変身しているはず、だから普通に同居人として対応すればいいんだ、と。

「は、はい」

ただそれだけ、同居人として配達物を受け取るだけ。
なのに、短い返事をする声ですら詰まり震えてしまう。

「きよひこさんにお荷物ですが、ええと……」

じっと配達人が俺の方を見た。普段俺が対応するのとは違う、なんかこう力を感じる目だ。
何か変だったのか?やっぱりだぼだぼのTシャツを着ただけの服装がやばいのか?
どくんと心臓が跳ね上がる。
理由もわからない焦りに、俺は慌てて配達物の箱をひったくり、何か言われる前に受け取りのサインをする。
流石に清彦とは書けない。
苗字のみを走り書きして配達人に突きだすと、二も三もなくドアから締め出してしまった。

「……はあー」

配送人の足音が遠ざかるのを確認してから、ようやく大きな安堵の吐息を出せた。
ほんの一、二分のやり取りだというのに心拍数が限界まで上がり冷や汗が滲み出ている。
それだけ緊張したという事なのか、箱を抱えたまま自室に戻ってもしばらくの間動けなかった。

ふと、まだ赤みが引かない自分の顔を鏡越しに見て思う。
そりゃそうか、自分で言うのもあれだけど、こんな可愛い子が裸Tシャツで出てきたら絶対に目が外せない、俺だってそうなる。

改めて姿見の前に立ってみれば、見慣れたはずの自分の姿が少し違って感じられた。
俺の理想の子という事は、他の男にとってストライクではないにしろそれなりに見える外見という事だ。
外からの目なんて今まで気にしたこともなかったけれど、多分よっぽど目を引くというのは想像に難くない。

「そうかこれは不味いよな……」

そんな子が前屈みになったものなら襟元から胸の谷間が丸見えだった、配達の人の反応も当然だ。

「となると」

次の言葉はごく自然に口から滑り出た。

「下着とかくらいは買った方がいいのか……?」

改めて今の言葉を頭の中で反芻する。
すると徐々に、そうしたほうがいい、そうするべきだ、との意識が湧き上がってくる。

女の子が女の子の下着を身に着ける、そんなのラブグッズを買う事に比べたらごくごく普通で当たり前の事のはず。
そうだ、これは万が一他人に見られたとき変な誤解を与えないようにするための措置。
今までして来た事に比べたらずっと正しくほんの些細な事。

なのに……なんでこんなにもウキウキとした気持ちが止まらないのだろう。

オナニーのための道具を買うときとはまた違う、でも心は同じくらい高揚している。
心の赴くままに検索ワードを入力し、そのページを読み実践する。
その繰り返しをすればするだけ、心地よい興奮が渦を巻いて止まらない。

結局、その日届いたバイブを試す時間は取れなかった。
でも不思議と残念な気持ちは無い。
自分に似合う柄や色を考え、サイズの測り方を調べ、慣れないメジャーでの測定を行うなど、別の意味で女の子を満喫できたのだから。

そして、あとは決定のボタンをクリックするだけの注文確認画面。
前回入力した内容の履歴に目を通しているうち、俺は昂ぶりの余韻に背を押されるまま一部の内容を修正した。

受取人の欄を「虎瀬清彦」から「虎瀬ふたば」と。

────────────────────────────────────────────────────────

今日は朝から顔が熱い。
この前通販した物が届く日であり、お預けになっていたバイブを初めて使う日でもあるのだから。

普段使っているGパンをベルトで無理やり止め、襟首が小さく体のラインが出にくいTシャツで身を包む。
女の子としては残念な格好だと思うけれど、これは以前の失敗を繰り返さないため。
つまり配達前だというのに俺はまた女の子に変身し終わっている。

別に間違えたわけじゃない、注文時に変更した受取人の名前「ふたば」に合わせただけ。
そう、通販したものを受取人が受け取る、ただそれだけのごくごく当たり前で普通の事。
そうなんだ、そのはずなんだけど

「何でこんな緊張してんだ……」

とにかく落ちつかない。
この前のように変な目で見られないだろうか、不審に思われないだろうか。
などなど、考えなくてもいい様な事ばかりが思い浮かび、鏡の前を行ったり着たりして見た目チェックを繰り返している有様だ。

今にして思えば何であんなリスキーな事をしたのか、と後悔もある。
女物の下着を注文して受け取るのが男の俺、そのギャップに強い違和感を感じだから、だと思う。

通販なんて殆どがシステム任せで自動化されているだろうし、注文品と買い手の宛名を見比べ詮索する人もいないだろう。
いたとしても顔も知らない会う事もないような相手。
配達の人だって中身の確認なんてしないし同様だ。

そう理解している、理解はしているんだけれども……でもどうしても嫌だった。

何故だろう、いつからだろう。
考えたってすぐ納得の行く答えを導き出せはしない。
そんな内面を滲ませる苦悩する女の子の顔が鏡面に写る、折角のかわいい顔が台無しだった。
はっとして頬を軽く叩く。

こんな顔で出ればそれこそ不審に思われる、普通にだ普通に。

大きく深呼吸をすればようやく鏡の中の女の子が自然に笑う。
よし、と一応の合格点を与えたのと来客を告げるインターホンが鳴ったのはほぼ同時だった。

「はーい」

一拍置いて、可能な限り平静を装った声を出す。
その行動で心臓が脈打ったもののまだ許容範囲内の緊張だ。

チェーンをかけドアノブを回せば、そこに立っているのはいつもの配達の人。
よくよく見れば俺よりちょっと上くらいの人だ、と普段であれば気にもしない事が思い浮かぶ。

「虎瀬ふたばさん?のお部屋でしょうか、配達物が届いていますので」

流石に二回目ともなれば慣れたんだろう、少なくとも見た目は普通に受取人の名前を確認してくる。
はい、と答えようと口を開きかけたとき、ドクンと心臓が弾んだ。
え、なんだ……?
その心の疑問が言葉に出そうになり、ぐっと口をつぐむ。

ふたば、そう俺が、確かに俺が書いた名前。
ただ何となく、その場で思いついただけのネーミング。
それが頭の中でリフレインを繰り返すつど

ドクンドクン

鼓動が一回り、二回りと早くなっていく。

血流量の増加が体温を上げ顔を赤く高潮させる。
やばい、変に思われる。
波立った心を懸命に押さえつけながら俺は配達人の表情を伺うが……そこで心底ほっとしたと同時に呆れた。

こいつ、俺の顔を見ないで胸ばっか見てやがる、と今の俺にはそれがはっきり分かったから。

正しくは襟首のあたりだろうけど、残念ながらそこは今回は対策済み。
二匹目のドジョウを与えるほど甘くはない。
まあ、見られていると思えば少しばかり緊張の度合いも高まる。
でもコイツの視線に冷静になった度合いの方がずっと大きい、と言うか助かったエロくて。

「はい、サインですね?」

小さく息を吸ってはっきりと答える。
見られている事を指摘すると藪蛇になりそうなので気づいていない振りを装いつつ、
差し出された受取票とペンを手に取り「虎瀬ふたば」としっかり書き記せば終わりだ。

…………?

配達の人が小首を傾げるのを視界の隅に捉えた。
その仕草も当然、サイン途中で俺の手が止まってしまっているのだから。

虎も瀬も書いた、そこからペンが動かない、いや動かせない。

小康状態になっていた心ざわめきが今になって激しいうねりを巻き起こしつつある。
いったん収まった動悸がここに来て一気に高まってしまっている。
口から心臓が飛び出そう、なんて慣用句が比喩にならないくらいばくんばくんと激しく脈打っている。

くそ、なんでだ、ただ名前を書くだけ。
ここに自分の名前を書くだけなのに。

……あ。

その時、ストン、と何かがはまった。
パズルの最後のピースが収まったような、あるいは喉に刺さった小骨が取れたような。
自分の体を緊張させていた原因が何か、分かった気がしたから。

────────────────────────────────────────────────────────

「そうだよな、初めてだもんな……」

仰向けに寝転んだベッドから天井を見上げそう呟く。
そうなんだ、女の子の自分、ふたばって自分にとっては何もかも初めての事だったのだから。

他人にふたばって呼ばれるのも、他人にふたばとしての姿を見せるのも、他人にふたばとしての声を聞かせるのも。
自分の手でその名前を書くのも。
俺なら何も感じずに出来るであろう普通の事は、女の子の自分にとっては何もかもが未知。

心は敏感に感じ取っていたんだろうけれど、俺がそれに気づけなかったんだ。

でも分かってしまえば、体験してしまえば未知ではなくなる。
何とか無事に受け取りを済ませた俺の心を満たすのは、達成感と安心感。

「へへ、あの人俺の胸ばっか見てたな、何度も無防備は晒さないってのに」

そして少しの喜びと優越感。

足を振り上げ反動に任せてベッドから降り立つ。
その足で姿見の前に進み映りこむ自分を見つめれば、4つの感情のうち後ろ2つをより強く感じる事ができた。

女の子の自分の姿はそれなりに見れる、と以前は思った。
でもそれは、自分に自信がない思いから相当な謙遜が入っていたんじゃないだろうか。

衣ずれの音と共にTシャツを脱げば、たわわに実った果実が二つ零れ出る。
Gパンの下にはすらりと伸びた肉付きの良い太もも、そして無毛の恥丘。
かわいい系の顔立ちに艶やかで長い黒髪。

誰がどう見たって美少女だろう。
少なくとも配達の人の反応を見る限り、そう受け取るに十分過ぎる。

「ふたば、ふふ……ふたばかぁ……」

こんなかわいい自分が誇らしい、それが薬の力を借りたものであっても今の自分の姿である事に変わりはない。
ころころとよく変わる表情を楽しんでいると、心の中にじんわりとした暖かさが込み上げてくる。
と同時に、冷たい別な感情をも感じる。

冷たさは男の俺を思う心。

かわいいこの子と比べて男の俺はどうだ。
良く言えば普通、悪く言えば無個性。
いてもいなくても同じ、勉強でもルックスでも遊びでも可も不可もないといった具合。
誰かの目に留まる事もない、その他大勢の一人。

でも今なら、今の俺、いや、今の「私」なら……

ベッドの上に投げ置いたものが見えた。
さっき届いた包み、それを手にしながら思う。
注文したときに感じた気持ちはきっとそういう事なんだろう、と。

俺が女の子の体を楽しむ事は今までと同じ、決定的に違うのは「清彦」としてではなく「ふたば」として振舞いたいという渇望。
ふたばとして、女の子として振舞うという事はつまり「俺」ではなく「私」になってみたいということ。
そこには清彦よりも素晴らしい体験がきっとあるはずだ。
なぜかそう確信を持ってしまっている。
だっておまんこ一つであんなに満たされるんだから、ふたばの体を全部余すことなく使えばもっと満たされるに違いないと。

瞬時に様々な欲望そして妄想が脳内を駆け巡り息が苦しくなる。
しかし何度も言うように焦る事はない。
まだまだ準備も何もかも足りないのだから、一つ一つ経験を積み重ねていけばいい。

差し当たっては……
と、改めて包みを開け中に入っているものを丁寧に取り出す。
触るのはもちろん、こうして目の前で見るのも初めての女の子のパンツとブラ。

それを手に取った感想は、まず手触りが良い、そして柔らかい、だった。
同じ事を目的としているはずの男のトランクスなんかとは全くの別物。
指で広げれば本当に頼りないくらいの布地しかなく、

「女の子って、こんなので大丈夫なのか……」

と、少々不安になる。それでも動作を止める事は無く。
ゆっくりと右足を通し次に左足を、そのままスルリと腰まで引き上げ食い込みを整えれば

「ふぁ……」

向かい合う自分に思わず溜息が漏れた。

女の子らしいYゾーンを完璧にガードするのに必要最小限の機能美、とでも言えばいいのだろうか。
すっきりとした股間に対しフィットする感覚もたまらない。
実際に身に付けてみれば布地の少なさとか無用な心配だった。

次はおそろいのブラ。
流石に普通より大きめなバストを収めるのにスポーツブラは使わないほうがいい、きちんとした大人のブラだ。
これは事前に予習済み。
お腹の前で背中に回すホックを止め半回転させて、乳房を下から持ち上げるように添え肩紐を整える。

「そして、こうやって……」

両手を使い、収まりが良いように胸をカップの中に寄せれば……

「すごい、胸が軽い」

パンツと同じように、ブラの形にもそれなりの理由があるという事を実感する。
あれほど感じていた存在感が、カップに支えられるだけでここまで変わるものかと。

髪を靡かせながら思わずその場で一回転してしまった自分に少し驚いた。
ブラの効果を確かめる意味もあったけれど、それ以上に私の下着姿がかわいいと感じたから。

そんな子がベッドに深く腰掛けておずおずと足を開く。
お腹に触れた手がゆっくりと下へと伸び、指先が下着の下へと滑り込む。

「ん……っ」

湿り気を帯び始めたクレバスを優しくなぞり、膣穴につぷりと指先を沈めた。

裸の方がずっとずっとエロいと思ってた。
でも、下着を着けてあそこを慰める姿もまた独特な雰囲気がある。

「あ、ん、ふあ……しらなかった、な……隠れてる方が、えっちにみえる、なんて……」

可愛らしいフリルのついたパンツとブラを身に着けた女の子が鏡の中で悶える。
すっかり自慰行為にも慣れたあそこが人指し指を柔らかく飲み込む、しかしその光景は下着に隠されて直接目に入ってはこない。
でも下着に浮き上がる指の形がぐにぐにと上下に動くさま、それが想像力を刺激するのか、いつもより淫靡で興奮を煽られてしまう。

「んっ……もう、いいか……」

膣口も十分にほぐれた、これ以上したらイくまで止まらなくなってしまう。
今日の主役は指ではないのだから、前戯はほどほどで止めておかなくては……。

愛液で濡れた指を引き抜けば、途端に物足りなさを感じて胸が締め付けられる。
はやく、はやく、快楽を求める心に急かされるまま、湿った下着ずらし、バイブの先端を膣口に宛がえば

「あ、あっ」

抵抗なくぬるりと先端が入り込む。
処女用と言うだけあってか、きついという感じもなく……むしろゆるゆるで余裕すらある。
指とは違う樹脂のひんやりとした感触は新しくはあるけれど、ここまではまだ期待したほどではない。なら

「もっと奥に……」

ゆっくりゆっくりと、女の子の最奥を探るように差し込まれるバイブ。
いくら女の子の体がそうできているとは言え、初めて指以外の異物を入れるのだから及び腰になるのも仕方がないと思う。
とはいえ、ぴっちりと閉じた膣肉をかき分け確実に奥へと進んでいくのは間違いなく、その刺激は体内を掻き分けられるとの表現がぴったりだ。

「ふあ、すごい……な、まだ入る……なんて」

もうとっくにオナニーで指を入れるような場所は過ぎてしまっていた。
バイブを最初に見た時こんな長いのが入るという事に驚きもしたけれど、今実際に入れてみて女の子の体の奥深さに酔い痴れてしまう。

「あ、れ……?」

不意にそんな呆けた声を出してしまったのは軽い抵抗を感じたから。
どのくらい中へ沈めた所だろうか、もしかしたらと思いほんの少し力を増してバイブを押し込んだ。

「ん……」

お腹の中が響くような感覚にぶるりと身震いが起きた。
そして、押し込んだ分だけ押し戻されるバイブに確信を持つ。

「全部はいった……一番奥に……」

ここが私の、女の部分の一番深い場所。
見た目や入り口だけではなく受け入れる部分も全部あるんだ、そう思えば歓喜が沸き起こる。

でもまだ、一番奥まで受け入れただけではまだ半分。
ここからスイッチを入れるという大仕事が残っているんだから。

一度深く息を吸い、吐く。
手探りでスイッチに手をかけ、そして一思いにスライドさせた。

女を責める道具が目覚める。
内部に仕込まれたモーターが唸りを上げ、それが振動と言う形で表面の樹脂を波打たせた。
振動そのものはスマホのマナーモード程度だけれど、それによって感じさせられた刺激はそれどころじゃない。

「あ、ああああっ……ひっ、いいいいいっ!」

ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ、と継続的に送られてくる低い振動。
バイブを丸ごと飲み込み包み込んでいるからこそ恥肉はダイレクトにそれを受け取る。
膣のあちこちが樹脂と擦れくっつき引っ張られ、ぐちゃぐちゃにかき混ぜられる。

気持ちいいとか痛いとか以前、ただただ強烈な刺激として背筋を駆け上がり脳を埋め尽くした。

胎内を、女の奥を、ぐにぐにと刺激させられる。
とにかく凄い、凄いとしか考えられない。

でもその裏で、こんなものなのか、との僅かな思い。
突っ込まれてよがり鳴く漫画や映像、ゲームの女の子は気持ちいいからじゃなかったのか、と。

「あぁんっ」

その時、お腹がきゅんと締まり反射で喘ぎ声が出た。
なに……?と、改めて意識を向ければ、バイブの音にくわえてちゅぷちゅぷと水音が聞こえる。

「こんなに濡れて……」

体を守る生理反応で愛液が大量に分泌されたんだろう。
アソコから溢れた潤滑油がお尻を濡らし、シーツに冷たい染みを作っているのが感じられてしまう。

「ふ、んんっ……!」

そしてまたお腹が震えた。

「あ、あっ、これ……ん、これ、気持ちいい……?」

そっか、と唐突に理解した。
まだまだ濡らし方が足りなかったんだと。
膣肉ごと引っ張られるような刺激が、粘膜の表面を擦られるようなそれに変わったのは十分に濡れてきたから。
だから今、待ち望んでいたものが得られ始めたんだって。

「ん、いい、気持ちいいっ……!」

声にして出すことで自分の頭に言い聞かせる。
これがバイブの快楽、女の悦び。

指で触るのと全然違う。
より広い範囲を細かく繊細に奥まで、それをすべて一度に与えられるんだから気持ちよくないわけがない。

「あああ、そこ、そこはっ……」

道具だからこそ弱いところを刺激するときは手加減する、なんて事もない、でもそれがたまらない。
初めてGスポットを抉られたと言うのにお尻を浮かせるほどに感じてしまっている。

「ひっ、ひぅん!かんじ、感じ過ぎて……い、いいっ!」

くる、クル、女の子のオーガズムがそこまで来ている。
あと少しでイケる、だからそれまではバイブを逃がさないように、と太ももをぴったりとあわせ閉じる。
愛液と自らの振動、そしてきゅんきゅん締め付ける私のおまんこで半分くらい外に出てしまっていたから。

「んっ、んーーーっ!いっ、いく、イくっ……!あ、ああああ!」

ひくんひくんとお腹の痙攣が手足の先まで伝播し、ベッドの上でブリッジをするように思いっきり私は体を仰け反らせた。
何度も見た真っ白な頂、そこへ至る新しいルートの発見の悦びに打ち震えながら。


「……はぁー」

絶頂を迎え気だるい解放感に浸っていた時とまったく同じ音ながら、その実正反対の息を吐く。
ぐちゅぐちゅになった下着の冷たさを指に感じながら、それを洗濯機に放り込む。
今日身に付けたばかりの下着を即汚してしまった、その事への溜息だ。

そして、もっとバイブを楽しみたかったけれど、明日も学校があるし薬の時間もあるのだから切り上げないわけには行かない残念な気持ちをも内包している。

「ちぇ」

舌打ちが無意識に出る、それだけ後ろ髪を引かれる思いなんだけれど仕方がない。
変身薬を一粒口に放り込み、俺は清彦へと戻る。
でも、考えるのはどうやったら限られた時間で女の子を楽しめるかという事、そのためには……

お試しに、との事だったからもう残り少なくなってしまった変身薬を横目に見ながら、俺はもう一度彼女のところに行ってみようと考えていた。

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